60歳 女性 ゆきんこさん
「おいらく取材ノート 体験者にきく2-4嫌いだった母」からの続きです
遺品整理はいつ頃実行されましたか?
母が亡くなり半年ほど経ってからコツコツ一人で始めました フルタイムで働いていますから、片付けのための時間は仕事が休みの日のみで捗らず、時間がかなりかかりました 懐かしい物が出てくる度に手が止まることがしばしば 大量のアルバム、衣類、食器、親の愛用品、私が生まれた年の新聞や幼少期に使っていた文房具、母の手編みのセーターなど・・・
特に、両親が独身の頃の写真や結婚式の写真が出てきたときは、「当時の事をもっと母から聞きたかったな」と悔やむ感情が出てきました 思い出の物がたくさんある実家で毎週片付けを続けましたが、結局一人で片付けをするのはやはり無理と感じ、専門業者に依頼することにしました
おいらく読者の皆さんへ生前整理に対するアドバイスをお願いします
実家の片付け(処分)は簡単にはできないと、自分だけで遺品整理をして実感しました 物については業者に依頼すれば費用はかかってしまいますが、時間はかからず片付けることができます (残すのか)(手放すのか)を家族で事前に話し合い決めておく必要があると思いました
これは遺品整理と生前整理の違いだと思いますが、親が元気なうちに思い出の物について母と話をしたかったと後悔しています 亡くなってしまってからでは、残された物が大切な物なのかそうでないのかを聞くことができません
遺品整理業者は物に対しての「感情」は全くないので、ひたすらトラックで運ぶだけです 公的機関や保険会社、不動産の手続きなどは届け出日数に期限があるものが多く、提出に必要な書類もあります どこに何があるのか、親が亡くなってから探すのはとても大変でした
私の場合実家が近かったので、時間も交通費もそんなにかかることなく終えることができたことが救いでしたが、遠距離に実家があり仕事をしている方にとっては、時間や交通費に負担がかなり生じますし、会社勤めの方は何度も休暇を取得しづらかったりします
これまでの経験を教訓に万が一に備える意味で残された家族が困らないように、私が元気なうちに子供に伝えておく必要があると思っています 直接口頭で伝えるのか、エンディングノートのある場所を伝えるのか、どちらにするのか考え中です エンディングノートも見直しをして、都度書き直しができるようにしています
最後にゆきんこさんにとってのおいらくとは
両親を見送り、自分自身60歳を過ぎて一人で暮らしていますので、将来のことを以前よりも深く考えるようになりました 親と会話をしてこなかった(しなかった)私にとって、息子との会話は悔いないものにしたいと思っています 結婚して家庭を持った息子家族と良い距離感を保ちながら・・・思い出作りをしたいです
「人生一度きり、悔いなく楽しく生きよう」とよく耳にしますよね その通りだと思います 今もこれからもですが、大好きな音楽を聴き、コンサートに行ったり、音楽がいつもそばにある暮らしをしていきます
おいらく=老い楽です
取材を終えて・・・
心に響く話が多すぎて、途中で何回ももらい泣きをしてしまいました( ; ; )行動に関する記憶は残らないけど、感情に対する記憶は残る(これ私も同感です)
お金を払うだけで施設に丸投げしている家族がいる 近くにお子さんがいても誰も面会に来ないと施設のスタッフから聞いたことがあります(何だか悲しいですね)きっとお母様はゆきんこさんが施設に面会に来てくれることを、毎日心待ちにしていたのでしょう
もし過去に戻れるなら、「認知症初期の70歳後半のお母様に会いたい」と答えたゆきんこさん 本来ならもっと若いお母様に会いたいのでしょうが、ゆきんこさんにとって認知症になっていても、13年間という空白を取り戻すかのように、再開してから亡くなるまでお母様と会っていた濃密な日々が、とても充実していたことが伝わってきました
延命治療のお話はもう泣けてきて泣けてきて・・・私も母から「延命治療はしない」と聞いていますので、実際にその場になるとゆきんこさんと同じように答えてしまうと思いました いや・・きっとそう答える方が当たり前なんだと・・・
お母様はご病気になられても最後までゆきんこさんと、一緒に精一杯頑張って生き抜いたのだと思います 私にはまだ母がいます 生きていてくれています それだけでも感謝しなければと思いました
ゆきんこさんお忙しい中、快く取材に応じて頂き心から感謝します「おいらく=老い楽です」の言葉 嬉しかったです 貴重なお話を本当に有難うございました
この取材ノートは全5回に分けてご紹介しました
老後を前向きに生きるためのヒントは、皆さんの生きてきたそれぞれの人生経験の中にあると思っています 人生経験豊富な年代の方ばかりではなく、若い世代の方でも同様です それは若い方なりの人生設計やプランが存在するからです
この取材ノートは、年齢問わず将来の自身の「おいらく(老いを楽しむ)」について語って頂いた内容をこのコーナでご紹介していきます 世代によって様々な考えや意見、そしてそれぞれの人生設計について聞くことができたら幸いです 読者の皆様、取材に協力して頂き有り難うございました
尚、取材した内容は、本人の了解を得た上で掲載しています

