「父と過ごした最後の3年」おいらく取材ノート 体験者にきく4-1
今回のテーマは「終末医療」「余命宣告」「緩和ケア」「最期」「葬儀」についてです
お父様が余命宣告3年と言われて、84歳で亡くなるまでの間 家族で過ごした日々や思い出 そして「終末医療」から「葬儀」まで、普段なかなか聞けない体験談を「田川エリ様」に伺うことができました
お話は多岐にわたるため、複数回に分けて掲載します
実家の両親は妹と3人暮らし 妹の子供が自立する数年前までは、孫も同居の5人家族でとても賑やかに暮らしていました
妹は毎日仕事で留守でしたので、自宅から車で30分の距離だった私は、時々高齢になった両親の様子を見に実家へ行っていました
若い頃は病気に無縁だった父親でしたが、骨髄異形成症候群(MDS)に発病したのは81歳でした
父が入院や治療でお世話になった病院は「1年:近所の総合病院」「2年:専門医の多い市民病院」でした 若い年齢であれば骨髄移植も考えられたのですが、父の年齢では難しいと聞きました
当時父親同席の上で余命3年だと医者から言われた時のことは今でも忘れられません 本当に医者の言う通り、父は3年で亡くなってしまいました
まず延命治療についてお聞かせください
私達姉妹に「延命治療を望みますか?」と医師から問われました
私は「延命治療は望まない」「点滴はしたくありません」と答えましたが、妹は「望みます」「点滴もしたいです」と言いました
「お父さんはもっと生きたいと言っていた」「長生きしたいと思っている」と私に言ってきたのです
姉妹で意見が割れたのですね
私は妹に「それはね お父さんが長生きしたいと言った意味が違うと思うよ」「それは元気で長生きしたい意味であって、病気で辛い思いをしてまで長生きしたい訳ないでしょ」「だから私は延命治療をしたくない」と言ったのよ
毎日「痛い」「辛い」「苦しい」ってあの気丈な父が必死で病気と戦っているそれを見ていて「本人が長生きしたいと思うわけがない」と・・・
それでも妹は、「父さんは以前から長生きしたい」と言っていたと言い、私と妹は大喧嘩になりました
延命治療に関して妹さんとの考え方に違いがあったのですね
確かに私は毎日実家の父の元へ通っていました 父が病気と闘いながら辛い思いをしている姿をずっと見てきたのです
父との貴重な時間を過ごせたことは良かったですが、だからこそ「延命は望まないし父本人も望んでいない」と医師に言えたのだと思っています しかし妹は仕事で日中不在でした
緩和ケアで自宅療養をしていた父と、一緒に過ごす時間は少なかったと思っているはずです
夜妹が帰ってくる時間帯にはもう父は寝ていました 妹は父の近くで毎日寝ていましたが、寝ている父しか見ることがありませんでした
だから妹はもっと父親と一緒にいたかったのでしょう 「延命治療をしたい」と言った妹の気持ちが、だんだん分かってきて泣けてきました
当時の事を思うと・・・私と妹は「最後父とどう過ごすことができたのか」で意見が分かれたのだと思っています
延命治療を望むか望まないか 私達姉妹では決めることができず、結局母に決めてもらうことになりました
母も「延命治療は望まない」「苦しい思いをしてまで延命は望まない」と医師に言いました
冷静になって今思うと、あの時まだ父は生きていました 本人に直接聞けば良かったのか?いまだ分かりません
ただ余命宣告された父に、延命治療を問うことはとても残酷のように思えてならなかったです
私はあの時医者に「延命治療は望まない」と言いましたが、もし延命治療をしていたら父はもう少し生きることができたのでしょうか?もう少し父といられたのかもしれない 本当にこれで良かったのか?と考えてしまうこともありました
そんな時、訪問看護師から言われた言葉・・・
「大切なことは、ご本人のことを皆で一生懸命考えること」「ご本人が元気な時に話し合うことが大切です」
それから家族全員で後悔のない様に話し合えたことは、家族にとってとても良かったと思っています
とてもデリケートな問題でしょうし、本人を入れて家族全員で話し合うことが大事なんですね
その時のお父様の病状をお聞かせください
まず父の病状は貧血がひどかったです
通院しながら必要時に入院をして点滴とビタミン補給から始まり、しばらくすると輸血をしながら抗がん剤の治療をしていました
亡くなる2ヶ月前に、医者から「輸血や抗がん剤治療をしても効果はでない」と説明を受けました
「父と過ごした最後の3年」おいらく取材ノート 体験者にきく4-2へ続く
老後を前向きに生きるためのヒントは、皆さんの生きてきたそれぞれの人生経験の中にあると思っています 人生経験豊富な年代の方ばかりではなく、若い世代の方でも同様です それは若い方なりの人生設計やプランが存在するからです
この取材ノートは、年齢問わず将来の自身の「おいらく(老いを楽しむ)」について語って頂いた内容、過去の体験を元にこのコーナでご紹介しています この取材ノートを通して家族や自身の何らかのアドバイスになれば幸いです 読者の皆様、取材に協力して頂き有り難うございました
尚、取材した内容は、本人の了解を得た上で掲載しています

