38歳 整理収納アドバイザー 杉本 美咲様
おいらく取材ノート専門家にきく「片付け編1-1」の続きです
娘さんが依頼した業者とはいえ、知らない人が家に入ってきて勝手に処分されても何も解決はしない、一気に片付ければ良いというものではないということですね
そうですね 一気に片付けたとしてもその時はスッキリすると思いますが、片付けた状態が維持できるかどうかは別問題だと思っています
私のやり方は、「片付けの期限は切らない」と決めているので、一気に片付けてしまいたい方であれば、私は逆にお仕事の依頼はお断りしています 時間がかかっても一緒に片付けて欲しいと思っている方に対して、仕事を引き受けるようにしています
一個ずつ物にまつわる話を聞きながら、「これはお父さんが好きだから買ったのよ・・・」「あらでもここにもあったのね・・・」みたいな感じで進めています
「お父さんのこと大事なんだね・・・」「そうなのよ・・・お父さんにちゃんと食べて欲しくて買ってるの・・・」「でもねーこんなに沢山はいらないよね・・・」こんなやり取りを交わしながら、現状の把握をしていきます
そんなことをしながら片付けようとすると、相当な時間がかからないですか?
その通りで時間が相当かかってしまいます でも時間がかかった分、すぐに元のように散らかってしまうことはないと思っています
今ある物と向き合いながら片付けを実行する方法だと、期限を切らずにゆっくりとお客様のペースで一緒に片付けをしていくことになるので、高齢の方にとっては負担にならないと思っています
今請け負っている方は高齢者のご夫婦のお宅なので、一気に片付けたいお宅ではないことが分かっていますから、最大限ご本人の意思を尊重しながらゆっくり台所から片付けを実行しています
(片付け前→片付け後)


片付けの現場から学ぶこと(自分が勉強させられること)があれば教えて下さい
学ぶことはとても多いです 片付けに決まった形は一つもありません 同じ片付けは存在しない
例え(私だったらこうする)と思っていても、相手の心に最大限寄り添いながら進めていく 右が適当だと分かっていても、相手が左と言うのであれば最大限尊重します
相手を尊重し様子を見ながら提案は常にさせて頂いて、一緒に考えて決めていきます その結果、お客様が右と思って頂けた時はチャンスだと思っています
難しいですね!尊重しつつも違う意見の提案をし続けるのは何故ですか?
つまり片付けることで環境を変化させるということは、今までの自分を否定することになります 他者の意見に対してプライドが邪魔をして素直に受け入れることが難しかったりするからです
再び散らからないようにしたいですし、なぜそうなってしまったのか?と自分自身と向き合ってもらう中で、他者の意見を受け入れられた時に、良い方向へ進んでいると言えます
時々自分とも重なったりして、考えさせられたり共感したり日々私自身も勉強しながらお客様と向き合っています
時間がかかっても、ご本人が物と向き合う時間が必要なんですね
「いる」「いらない」「捨てる」「捨てない」は基本的に本人に聞いてから決めています それをあえてやることで、本人が物と向き合いながら片付けることができるようになるのです ご本人が片付けたエリアに関しては、それを維持できるようになることがとても重要なのです
片付けの現場で心がけていることはありますか?
「基本的にどんな物でもその方にとって大切な物として扱う」ことですね
現場でどうやって信頼関係を築いて行かれるのですか?
- 「勝手に捨てない」
- 「勝手に動かさない」
- 「ちゃんと聞いて確認する」この3点を重視しています
時間がかかっても、結果的にお客様が納得して片付けられるまで、時間を費やすことを初めから想定してゆっくり本人と向き合いながら進めていきます そこに時間を費やすことがリバウンドしない時間にもつながるのです
一日最大やっても4時間の中で、最初はスローペースでしたが、だんだんコミュニケーションを取りながらやっていく中で私に対する信頼度が増してくると、片付けるスピードも数倍早くなっていきました
高齢者のお客様の依頼を受ける場合に、注意されていることはありますか?
これまでは比較的若い世代の方々の依頼に対して、片付けを行ってきましたが、高齢者のお宅だと外との繋がりが減ってくる中で寂しいとか寄り添うとか、細かい配慮が必要だと感じました
今回初めて高齢者宅を請け負っているのでとても感じることなのですが、心を許せるまでにならないと片付けはスタートできないと思いました 時間もかかりますし大変ではあるけれど、その分片付けの仕事に生きがいも感じています
若い世代と高齢者では、片付けに対する対応も変わってきますか?
全く違います 若い世代だと、お子さんやご主人が使いやすい様にするとか、家族全員の利用度によっても違いが大きく変わります
しかし高齢者の場合は、おばあちゃん一人のために「いかに動きやすく生活し易いように考えてあげるか」ご本人と一緒に片付けながら、一個一個物と向き合っていく事がとても大事になっていきます
明らかに不要そうな物に見えたとしても、その人にとってはとても大事な思い出だったりするのです 思い出を振り返りながら、一緒に片付けができるようになればきっと、片付けに関する「生前整理」は成功ではないでしょうか
高齢者の場合、生前整理というと亡くなる準備と思ってしまう方もいると思います
間違った捉え方をしてしまうと、片付けも業者に任せて一気にやってしまえば良いと思う人もいるでしょう
将来を前向きに生きるために「いかに生活しやすく動きやすい環境に改善できるか」これに気づいて本人も物と向き合っていく事が大事なんですね
そうですね 気持ちを無視してただ片付けることはとても簡単ですが、それだけは絶対してはいけないと思っています 本人に対して「尊重する」「心に寄り添う」ことは簡単そうで一番難しい 最大限配慮しながら仕事を進めて行かなければいけないと思っています
正直言うと高齢者のお宅に伺った当初は、私をものすごく警戒されていました 自分の家の中の私物を、他人の私が勝手に触ることって警戒しますよね
それを徐々に話をしながら、聞きながら、相手を認めて、受け入れて、共感することを繰り返すことで信頼関係が生まれてくると思っています
それからが片付けの仕事をスタートできると言えるでしょう
老後を前向きに生きるためのヒントは、皆さんのこれまで生きてきたそれぞれの人生経験の中にあると思っています 人生経験豊富な年代の方から若い世代まで、それぞれの考え方や経験を聞くことはとても貴重であり、これからどう生きるべきかを学ぶ参考書になり得ると思っています
「体験者にきく」は、年齢問わずご自身の経験や将来の「おいらく(老いを楽しむ)」について語って頂いた内容をご紹介しています 又「専門家にきく」では、様々な現場で活躍されているプロの方にfandeenaが取材した内容をご紹介しています
同じ悩みを抱えている方、世代によって様々な考えや意見もあるでしょう 読者の皆様にとってこれからの人生についての参考になれば幸いです 読者の皆様、そして専門家の皆様、取材に快く協力して頂き感謝します この場をかりて厚くお礼を申し上げます
尚、取材した内容の最終確認 及び「氏名」「社名」「写真」などの公表に関してまして、全てご本人の了解を得た上で掲載しています

