おいらく取材ノート 体験者にきく1-1
67歳 男性 元企業役員 ATさん
今回は見た目はとても若く感じられ、とてもおしゃれな印象のATさんにお話を伺いました
「No1」「No2」の2回に分けてご紹介します
退職前の職歴をお聞かせ下さい
現役時代は部下を多数持つ企業の役員でした 毎日仕事中心の生活でしたし、付き合う人間も仕事関係が多かったです とにかく仕事人間でした
退職前までに何か趣味をお持ちでしたか?
仕事関係の付き合いなどで、子供ができた頃からゴルフをするようになりました やるからには負けられないと練習を重ねる度に「自分の趣味はゴルフである」と思い込んでいました 週末ごとに会社関係の人間と早朝からゴルフに行ったり、休みの日も練習に時間を費やしたりするくらいのめり込んでいました
仕事以外で会っていた友人はいましたか?
ゴルフが終われば、食事や飲み会が当たり前だったし、寂しいと思ったこともなかったです 女性の付き合いにも困ることはありませんでした 友達が欲しいとか、寂しいとか思った事がないくらい、仕事に頑張っていたし友達をあらためて作る暇もないと思っていました
退職前と退職後の差はどの程度ありましたか?
非常に大きかったです 退職して気づいたこと それは「孤独」でした それも大きな空虚感で、高い所から一気に突き落とされた気分でした
いかに私は仕事人間だったか、家庭よりも仕事を優先してきた代償は、退職後に大きく影響を及ぼしました 私が家族との時間を割いてこなかったことは、退職後に大きな後悔になりました そして自分の将来を築けないまま退職を迎えてしまい、退職後の自分と向き合えないまま孤独に苛まれるそんな日々が続きました そしてそんな自分を今更変えることができず、これまで築き上げた地位名誉やプライドを捨てることができない
後悔している事はありますか?
そりゃもう一杯ありすぎて後悔だらけです あれだけ付き合いに困らなかった私が、退職後に会う人がいなかったからです そのことに気づいた時は、もう遅かった 悔やんでも取り戻せない貴重な時間 自分に近づいてきた人間は、皆「利益」のためであり、私はそれを仲間や友人と勘違いしていた 友達は作りたくて作れるものではないことに今頃になって気づくとは恥ずかしいです「寂しい」「誰かに会いたい」と思っても、プライドが邪魔をして用事がないと連絡すらできない
時間が戻せるなら何をしますか?
(家族との時間を大事にする)
ふと気づくと、退職後に帰る場所が、家庭内のどこにもありませんでした 退職したら妻や子供達を旅行になんていくらでも連れて行けると思っていましたが、考えが甘かったです 自分勝手に生きてきた私に誰も付いてくるわけがない 時間が取り戻せるなら、妻や子供達の信用を取り戻したいです
(親を大切にする)
親にお金を頻繁に送っても、実家に帰ることは殆どありませんでした 妻の両親にも同様の扱いで、お金さえ送っていれば何とかなると思っていました そのことが後に自分に大きく振りかかってきました 当たり前の事ですが、家族から大事にしてもらいたいなら、自分の親(妻の親)を大事にすべきだった 親を大切にする姿勢を子供に見せることが、いかに大事であったか 今の私ならそのことが痛いほど理解できます
(趣味がない)
何をしたいのか?自分に問いかけてもしたいことが見つかりませんでした 週末ごとに家族との時間を割いてまで熱中していたゴルフとは、一体何だったのか? 若い時に行きたい場所や、やりたいことがあったはずなのに、退職してから行こうと思っても意欲が湧かない 一人で楽しもうという気になりません 毎日毎日、「私はこれから何をして生きるべきか?」自問自答の日々でした
老後を前向きに生きるためのヒントは、皆さんの生きてきたそれぞれの人生経験の中にあると思っています 人生経験豊富な年代の方ばかりではなく、若い世代の方でも同様です それは若い方なりの人生設計やプランが存在するからです
この取材ノートは、年齢問わず将来の自身の「おいらく(老いを楽しむ)」について語って頂いた内容をこのコーナでご紹介していきます 世代によって様々な考えや意見、そしてそれぞれの人生設計について聞くことができたら幸いです 読者の皆様、取材に協力して頂き有り難うございました
尚、取材した内容は、本人の了解を得た上で掲載しています
取材ノート テーマ「大事なもの No2」へ続く

